🎓研究紹介
ソフトマテリアルは、分子構造・分子形態・分子配向・結晶性・異なる材料との複合、といった多様な構造を取りうることが特徴であり、その構造と運動の階層性が機能物性を決定します。これは、依然として未解明な領域が数多く残されている非一様な系であり、その理解に基づく制御は新たな可能性を秘めています。
柔らかさを特徴とする圧電性高分子は音響インピーダンスが低く、生体や木材の振動を検出する性能が優れていることから、新たなセンサ応用への期待が高まっています。また、大面積かつ低コストに量産できる特徴を活かした応用も検討されています。本研究室では、優れた圧電性を有する強誘電性高分子、極性高分子、キラル高分子を対象に、その圧電性発現機構を解明し、材料本来の圧電性を引き出すことを目的とした研究を進めています。
柔軟性を有した熱電材料は、可動部を有する生体や曲面を有する配管等の廃熱を回収し、電気エネルギーに変換することが可能なため、これまでにはなかった新しい活用が期待されています。また近年では、非一様な系での熱電特性の理解が進展しつつあります。本研究室では、ナノカーボン材料に注目し、その熱電特性が構造の階層性にどのように支配されているかを系統的に理解し、制御することを目指しています。
ソフトマテリアルに関して、エネルギー分野への応用展開を推進します。エネルギー現象は、貯蔵・輸送・変換の3つで構成されますが、ソフトマテリアルは大きな入力刺激に対する許容性が高いことが特徴であり、高密度エネルギーが貯蔵可能な素子や、電気-熱/機械変換が可能なエネルギー変換デバイスへの展開が期待されます。さらに、ソフトマテリアルの特徴である優れた柔軟性、成形加工性、生体適合性は、無数のセンサデバイスを任意の場所に任意の形状で実装できる可能性を有しています。本研究室では、大面積や曲面形状で動作するアンビエントセンサ、生体情報やモーションを取得するバイタルセンサ、バッテリーレスで動作するエネルギーハーベスティング異常診断システムなどの研究を進めています。